矯正って、とりあえずやればよくなるものなの?

【東京メトロ東西線妙典駅 徒歩5分の歯医者】
市川、妙典の歯科医院、めぐりデンタルクリニックの梶原です。

以前に書いた、注意喚起も兼ねた記事がございますので、よろしければご一読下さい。

ここ2~3年ほど、マウスピース矯正が勢力を増しております。「目立たない」「違和感が少ない」といいことづくめに思えるマウスピース矯正。はたして、いいことだけなのでしょうか・・・

ご本人の了解を頂きましたので、こちらのケースを紹介したいと思います。

本人は特に症状はありません。前歯のガタガタが強く、それをマウスピース矯正で治療したとのことでした。

正面からの写真です。前歯は並んでいるように見えます。これの何が問題かというと・・・

左右から撮影した写真です。お気づきでしょうか?当院では、少し口を開けた写真も撮影しているので、それも並べてみます。

これを見た後で、上の写真に戻ってください。何か違和感がないでしょうか?

正面はわかりづらいかもしれません。左右の写真をよくよく見てください。全部歯と歯の間があいている写真に見えませんか?これはあいているように見えるのではなく、実際「噛んでいるのにあいている」状態なのです。

マウスピース矯正はこれが非常に起こりやすい。マウスピース自体に厚みがあるので、それを噛んでいる歯が押されて沈む力として働くケース、前歯が動いて接触するようになり、かむのを妨げるようになったケースなど、たびたび見られます。

こうなったものをマウスピースだけで修正するのは非常に難しい時があります。マウスピース矯正が得意なのは「押す」力を発揮するケース。つまり、頬っぺた側や舌側に傾いた歯を押して並べるのが得意なのです。また、マウスピースの性質上、出てる歯を押し込めるもの得意です。

その一方で、引っ込んだ歯を垂直に出す。歯を抜いたスペースに歯を傾かせないよう平行に移動させることは苦手。なので、抜歯が必要なケースには向いていません。

抜歯が必要なケースなのに「歯を抜かなくて大丈夫です」というドクターがいます。これはなかなか危険です。抜かなかった結果、結局、歯が動かなかったり、歯のスペースを作るために、過剰にIPR(歯の隣り合ってる面を削ってスペースを作ること)を行って、形を変にしてしまったり、極めつけは今回のように目立つ部分は並べたけれと、他の部位に問題が起こり、それを修正できないで治療を終了する、という事が起こります。

矯正は、見た目で気になることがあるから、やる、という方が多いですが、まず初めに考えるべきは「適切な方法は何なのか?」です。「歯を抜きたくない、でも歯を並べたい」という思いを持つ方が多いですが、それを達成できる方とできない方がいます。できない方に、できると言って、トラブルになるケースはよく耳にします。ですので、まずはしっかりとした検査と診断を受けることです。

ここで一つ、難しいことがあります。矯正は多くの「流派」が存在する、ということ。矯正=この形、と決まっているわけではなく、考え方がいろいろなグループがいるのが実情です。それが問題をさらに難しくしています。

そんな中で、一つ方向性を出すのなら、「20年後に歯の後戻りがなければ問題ない状態を維持できるかどうか?」です。治療期間を早めるために、犬歯(糸切り歯)を抜いて並べるグループがあります。しかし、一般開業医からすれば、犬歯は可能であれば抜かずに、適正な位置関係においてほしいもの。この歯が機能しているかどうかで、奥歯の守りやすさが格段に変わるからです。長い目で見た治療計画を提示してくれるかどうか、が一つの判断材料になると思います。

「よくしたい」という思いから矯正を選ぶ方は多いと思います。しかし、2~3年よくした後に20~30年その処置の結果で悩むのならば、それは望んだ形なのでしょうか?

今の問題の解決はもちろん重要ですが、その先に待っているものもしっかりと見極めて、矯正治療は選択することをおすすめいたします。

千葉県市川市妙典5-4-22 クリスタルコート101
tel:047-712-5530

めぐりデンタルクリニック

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