
見た目から、どのくらいの大きなのむし歯なのか?ということは、なかなかイメージできません。とってみてビックリ!ということも多々あります。ご興味があるかたは、以前書いたものがございますので、そちらをご参照ください。
さて、今回の本題になります。
治療前の状態は以下の写真をご覧ください。

処置をする前の状態です。つめものがかけており、周辺から黒くなっているのが見えると思います。この写真を見ると、「壊れている部分をなんとかすればいい」と考える方は多いと思います。しかし、これの一番の問題はそこではありませんでした。



なんと、横から大きく侵食されていたのです。治療している部分の下から虫歯になっているところもありますが、全く手つかずの部分から虫歯になっているところもありました。


悪い部分をすべてとり、神経を保護する材料を入れた状態です。かなり大きく侵食されていました。手前の歯のむし歯も、神経方向に大きく進行していたため、この2本はクラウン(被せもの)治療をすることになりました。
ここで次の治療に行く前に、実は時間をおいています。このぐらいの深さのむし歯治療をすると、処置した後に歯が痛んだり、水が強くしみる、という症状が出ることがあります。どちらも歯の神経の症状です。それの症状が一定よりも強く、1週以上続くようであれば、神経をとる、という決断をします。
今回は症状がなかったため、そのまま処置をすすめることとなりました。

まずは仮歯にします。仮歯にして問題がないかを確認し、型取りをします。ちなみに外すとどうなっているのかというと・・・

こんな感じです。小さな歯のような状態になっています。クラウン治療をするときには、歯の方向や長さを変えられるため、少しの形の変化で対応できる問題がある時には、全く同じ形ではなく、入れた後に問題が起こらないような形を意識して作成します。

入れるとこのようになります。素材はジルコニアを使用しております。ジルコニアはデメリットとして、白っぽく、透明感が少ないです。しかし、強度は十分であり、ホワイトメタルと呼ばれるくらいです。セラミックスの一種になります。
セラミックスにもいろいろな種類があります。そもそも、セラミックスとは「金属以外のもので、有機物ではないもの」になります。有機物は「炭素(C)を含む化合物(例外あり)」になります。ですので、金属は金・銀・銅・マグネシウム・アルミニウム・・・というように、セラミックスという分類の中に、たくさんの材料がある、ということです。
分類上の疑問・・・興味のある方だけ読んでください(*セラミックスの中にアルミナがあります。分類上はセラミックスになります。理由は、非金属元素と結合しているから、ということですが、それならば、合金に分類されるのではないか、という気もします。なぜなら、合金の分類は非金属元素との結合物も含まれるからです。しかし、そのあたりの詳しい記述は見つけられず・・・本当の意味での詳しい分類は、専門の方のご意見を仰ぎたいところです。アルミナとアルミニウム合金→アルミホイルの原料など、は明確に区分けをされていることが多いです。)
これまで歯科で使われているセラミックスは、アルミナや二酸化ケイ素、といったものが主流でした。ただ、これらで作られるものは、長年使用することで作ったもの自体が割れたり、一部分が欠ける、といったことが起こっていました。ジルコニアは、これらと比べると、日本での使用許可が下りたのは2005年と比較的新しい材料になります。この新しい材料は、長年使っても壊れにくいという強度があります。他方で、透明感が弱く見た目が悪い、接着材との相性が悪い、といったことが疑問視されていました。
それから研究が進み、メリットである強度はそのままに、見た目も大きく向上したものが登場しており、接着に関しても問題は少なくなってきております。(当院においては300本以上製作しておりますが、3年で1~2名が外れただけで、それ以外の問題は起こっておりません。)また、プラーク(細菌の塊)の付着が起こりにくく、処置後にむし歯の再発がしづらい素材です。

長期の問題を起こさない、という視点で考えると、ジルコニアが最適である、と考えております。「せっかく治療したのに壊れた」とか「治療した部分から悪くなった」という事が起こってほしくないからです。
近年、健康面においては、長生きがリスクになってきています。長期間維持する、というのは簡単なようで、実はとても難しいことです。先のことまで考え、長期に維持される、という意味で、当院では、基本的にジルコニアを使用しております。
期間 | 2本 約1か月半(間に別の処置も挟んだため) |
費用 | 前歯1本 ¥132,000 奥歯1本 ¥121,000(治療当時の費用になります。詳細は改めてご確認ください。) |
デメリット | 歯を削る量が金属より多め、それによる知覚過敏の可能性 色が求めている色と完全に一致しない可能性 長期間使用で破折する可能性 |
セラミック治療についてはこちらhttps://meguridental.com/treatment/ceramic/
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めぐりデンタルクリニック