親知らず
Wisdom Tooth
親知らずは抜かなくてもいいものなのか?抜かなければどんなことが起こるのか?そんな心配の声が上がると思います。
また、抜いたら腫れるの?という疑問の声へのお答えも含めて解説しようと思います。

親知らずの名前の由来
親知らずは、「第三大臼歯」「智歯」とも言われます。親知らずの由来は、昔は人生50年といわれていた時代、親知らずが生えるころには、自分の親は亡くなっていることが多かったため、親はその歯の存在を知らない=親知らず、というように言われていたそうです。
智歯という呼び名は、英語でwisdom toothなど、海外では同様な意味合いで表現されており、人間としての知恵がついてきた頃に生える歯=智歯、とされています。
親知らずは、必ず抜かなければならないの?
現代人は昔の人類よりも顎が小さくなってきています。歯は顎の骨の上にしか自然には並べません。
結果として、親知らずの生えてくるスペースがなく、横になっていたり、歯ぐきからわずかに顔を出している形が最終形となっていることが多いのです。
これは矯正で、なぜ歯が並ばずにがたがたになるのか?と同じ理屈ですね。


骨は上の写真の青ラインの部分になります。でも、その上に並ぶ歯は緑ラインの長さをすべて足したものになります。
この時、青ラインの長さ < 緑ラインの長さとなる場合に、歯並びは乱れます。親知らずの場合は、一番奥の歯のさらに奥の部分に十分な歯を並べるための骨があるか?で歯が生えるのか、手前の歯に引っかかるのかが変わってきます。
歯ぐきからわずかに顔を出している形が最終形となっている場合、手前の歯との間に微妙な隙間が現れ、そこに食べ物が入り込んで歯ぐきの状態が悪化したり、隙間から虫歯が進行して、手前の歯を抜かなければならない事態になることもあります。ですので、歯を抜く話が出るときは、手前の歯をあきらめる事態にならないように、という意味合いの方が強いです。
あとは、歯の生え方自体は問題ないが、磨き方に難があり、問題を起こしているケースも抜歯を推奨します。
親知らずは抜いたら、必ず腫れるの?
腫れることについて言えば、ほぼ下の歯についてになります。上顎の骨と下顎の骨では硬さが異なっており、上の歯を抜く際に腫れることはほとんどありません。
また、下の歯を抜いた後に腫れるのは、抜くときの手技によるところが大きいです。抜いた後に出血すると腫れます。なぜ腫れるか?抜くときに周辺の骨を削って、多量に出血が出るからです。究極、歯だけを削れば、出血することはほぼないでしょう。ただ、埋まっている親知らずを抜くときには、一部を除いてほとんどが骨に覆われており、わずかな隙間から歯を抜くことになります。
その隙間を広げるために、骨を削って大きな空間を作り、抜くことが我々の中ではセオリー。結果として、抜いた後に出血して、腫れて痛む、という事が増えます。
当院での親知らずの抜歯
当院では、骨の中に埋まっている親知らずも対応しています。極力、腫れの起こらないよう、歯のみを削り、砕いて、元々あいているわずかなスペースから欠片として取り出す、という方法を行っております。
おかげさまで、抜いた後に腫れた、という事はほとんどありません。(以前は、私自身骨を削って抜く方法を多用しておりました。その際には、2人に1人は腫れている、というような体感でした。)埋まっている歯を抜く際には糸で縫い合わせるため、頬が突っ張るという事を言われることはありますが、それは糸を外すとなくなります。
ただ、親知らずの根の部分があまりに神経に近かったり、深すぎる位置にある場合、歯の根の先が90度近く曲がっている場合などは、専門性の高い医院へ紹介させていただいております。